2145970 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

新英語教育研究会神奈川支部HP

新英語教育研究会神奈川支部HP

2002 会報担当がオススメする英語学習書

■2002-11-26会報担当がオススメする英語学習書(その1):江川泰一郎『英文法解説 改訂3版』金子書房(1991)
  1冊手元に置くなら、ということならこの本。江川泰一郎『英文法解説 改訂3版』金子書房(1991)だ。(『英文法解説 改訂新版』(1964)が本当はいいと思うが。)

 現代の英文法の成果が標準的に紹介されているので便利で安心して読める。豊富な例文も魅力。
 64年の改訂新版は古いながら、貴重な記述があり(「なぜ前置詞を語末に置くのを嫌がるか?」「同格のthat表現にならない単語:picture」)、必読。)
 91年の改訂3版では名詞構文を充実させて取り上げ、スワンの語法の成果を加え、独自の観点で英文法を体系化している。引用を明示し、学者のモラルを守る江川氏に見習いたい。

■2002.11.27  会報担当がオススメする英語学習書(その2):Swan, Michael, Practical English Usage, Oxford
 辞書の「ジーニアス」や江川泰一郎さんの『英文法解説 改訂3版』にもその成果が盛り込まれている、スワンの語法書。語法を知るのにほんとうに便利。初版はA to Z形式、2版は品詞別で書かれている。私は初版の方が好き。翻訳も出ているはずです。
Swan, Michael, Practical English Usage, Oxford, 1980
Swan, Michael, Practical English Usage, Second Edition, Oxford, 1995

■2002.11.28 会報担当がオススメする英語学習書(その3):マーク・ピーターセン『日本人の英語』岩波新書18(1988)
 かつて一世風靡した本らしいのですが、実際に本当の意味で読まれたかというと疑問です。ちゃんと読まれていれば、もう少し英語教育も向上しているはず…。
 例えば、定冠詞を扱った『あの人ってだれ?』の章などで、初級学習者のうちに体得しておきたい「英語を母語とする人が名詞を使う時の感覚」、先行詞と関係詞を扱った『アダルトな表現をめざして』、受動態と能動態を扱った『慎重とひねくれ』の中で、「語順の工夫」や「文章技術」といった上級学習者に必要な視点まで、幅広く提供しています。

マーク・ピーターセン『日本人の英語』岩波新書18(1988)
マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』岩波新書139(1990)

■2002.11.29 会報担当がオススメする英語学習書(その4):Raymond Murphy『Basic Grammar in Use』
 Raymond Murphy『Basic Grammar in Use』Cambridge(Second Edition 2002)

 中学生から使える学習書として私が知っている中でベストと言えるのが、この本。マーフィーの本には感心させられることが多い。『Basic Grammar in Use』より以前に買っ『Grammar in Use』もいいが、このBasicは練習問題が凝っている。メガネや手袋、靴などThey / These shoes のように複数で扱うものがイラストと共に扱われていて、至れり尽くせりなのだ。またマーク・ピーターセン『日本人の英語』で扱われていたsome chickenなどの表現もイラストで明快になっている。今、中1の女の子と学習しているが、よくできている。
 このテキストと大違いなのが、現在の中学検定教科書。絶望的だ。制作者は一度この本を読んで欲しい。
 さらに欲を言えば、私の考える英文法(無冠詞/時制などの捉え方)をちょこっと足してもらえたらなあ、と思う。そうすれば完璧だ。でもこの問題集で十分です。


■2002.11.30  会報担当がオススメする英語学習書(その5):『New Progress in English 』
 ロバート・M・フリン『New Progress in English Book 1-6』イエズス会出版(1993)

 文章の内容が古めかしいとか、文法事項の説明の仕方など、私から見ると少し不満な点もありますが、魅力のあるテキストです。名詞の感覚や関係代名詞/後置修飾が自然に身につく構成には脱帽です。BOOK1から3まであれば大学受験の基礎には十分でしょう。このテキストを越えるようなテキストを作るのが私の夢です。
 近年改訂されて、正直、残念です。昔の「棒おじさん」のイラストの版の方が内容も含めて素朴でよかった。私は古い版を持っているので、愛用しています。
 キリスト教ベース(著者のフリンさんは神戸の六甲中学高校の先生でキリスト者)なので、説教臭いところがいい。「A Law of Life」(BOOK2)という話ではロッキー山脈に住む母と少年がケンカして、家を飛び出した少年が山に登って「I hate you!」と叫ぶと、やまびこが「I hate you!」と叫び返したのでびっくり。「お母さん、山に恐い人がいる!」と家に帰って言う。そこでお母さんは少年を連れ、ふたたび山へ。そこで「I love you!」と言ってご覧なさいと、母に言われた少年は言ってみると、向こうから「I love you!」の声が。これが「人生の法則」。憎しみには憎しみが、愛には愛が帰ってくる、なんていい話。どこかの国の大統領に聞かせたい。


© Rakuten Group, Inc.